ウォーキングの極意

ウォーキングが何故からだに良いのか?

みなさんはすでにウォーキングを始めて3ヶ月以上経っていますね。もし、これから始める方や、まだ3ヶ月続けられていない方は、「はじめに、これからウォーキングを始める方へ」のほうを先に読んでください。

改めて、私は医者でも栄養士でもありませんので、あくまで私の体を使って得た経験であることをご了承下さい。すべてのことが万人にあてはまるわけではないということです。そして、ウォーキングと出会い、ここ数年間で得た経験は、これまで様々なダイエットに関する努力の何物よりも大きな効果が得られたと確信しています。

食事などで摂取するエネルギーに比べて運動などで消費するエネルギーが少ないと、当然余ったエネルギーが脂肪に形を変えて体の中に蓄積され、肥満症などの病気を起こす原因となることは良く理解されていることと思います。これが現代人の生活習慣病の最も大きな原因です。それを防ぐためには、摂取量を少なくするか、消費量を多くする以外に方法はないこともご理解されていますね。

そして我々は、消費量を多くするために、ウォーキングを始めました。1ヶ月でみるみる減量が始まりました。そして3ヶ月で5キロの減量に成功しました。もちろん体質などの関係で、その減量は人それぞれです。1キロしか痩せない方もいらっしゃるでしょうし、10キロ以上痩せた方もいらっしゃるでしょう。この時点で、みなさんは特に食事制限もしていないし、生活環境も取り立てて変えてはいないという前提から話を進めます。

しかし、3ヶ月を過ぎたぐらいから、その減り具合に変化が出てきました。いくら歩いても変化があまりなくなってきたのです。ここからが、スマスリウォーキングの極意が重要になってきます。その極意とは「無理をしないこと」。これまでほど減量が進まなくなってきたから、日々の距離を多くするとか、もっと激しい運動をするとか、人によっては、知人などから「ウォーキングだけじゃ痩せないよ」なんて言われてはいませんか?

一番危険なのは、ウォーキングじゃ物足りないからジョギングにしましたとか、東京マラソンに出ますとか・・・。もちろんそれ相応の体力がおありなら、マラソンなどをするのも良いでしょう。最近流行りのサイクリングや山歩きなどに転向するのも良いと思います。ただ、せっかくここまで出来たんですから、ウォーキングは続けてみませんか?日々毎日できる運動と言えば、やっぱりウォーキングを置いてほかには考えられないのではないでしょうか。その継続こそが、みなさんの健康を支えてくれるのです。そのからくりをお話ししたいと思います。

私は、減量が思うほど進まなくなった3ヶ月後から、食べたものを毎日記録する、いわゆる「レコーディングダイエット」を始めました。レコーディングダイエットをご存じの方も多いと思いますが、ここで言うレコーディングダイエットは、あくまで記録することだけです。やけに油物が多いことがわかったので、粗食に切り替えてみようとか、そういったダイエット行為はまだです。私はその前に、ウォーキングにおけるエネルギーの消費量について考えてみることにしました。

運動中に消費されるエネルギーは

1分間あたりのエネルギー消費量×運動時間

これを考えると、短時間に大量のエネルギーを消費したければ、1分あたりのエネルギー消費量が大きな運動をすれば良いことになります。しかし、このときの運動は激しいものになるので、呼吸も苦しく、心臓や関節にも大きな負担がかかります。

あらゆる運動は、筋肉の活動によって行われます。筋肉が活動するためにはエネルギーが必要です。このエネルギーの源は、アデノシン三燐酸(ATP)と呼ばれる物質だそうです。ATPが分解すると、エネルギーが放出されます。筋肉はこのエネルギーを利用して活動します。(詳しくお知りになりたい方は・・・・を御覧ください)

ATPは分解されてエネルギーを放出するのですが、その後またATPは再合成されます。ATPができればまたこれを元にして運動が継続できます。ここで気をつけなければならないのは、この繰り返しをどうやって行うかで、健康にも病気にもなるということなのです。

ATPの再合成には2つの過程があるのだそうです。1つは無酸素性代謝過程、そしてもうひとつは有酸素性代謝過程と呼ばれるものです。有酸素性代謝過程は、1分間に再合成されるATPの量は小さいが、酸素さえ十分であれば、継続してエネルギーを放出し続けられる、すなわち大きな力は出せないが、継続性がある運動です。

それに対して、無酸素性代謝過程は、1分間に大量のATPを再合成できるため、短い期間に大きなパワーを発散できるようになりますが、継続性がない。簡単に言ってしまえば、激しい運動のため、すぐに疲れてしまうという運動のことです。

もうお気づきですね。長続きできる運動を継続させることで、いわゆる「有酸素運動」が引き起こり、運動するためのエネルギーが自動的に補給されてゆくように体は出来ているのです。有酸素運動の代表格として、1980年代ころから注目されるようになったのは「エアロビクス」です。ただ、ジムなどでみなさんがエアロビクスをされている姿を見ると、大半の方々は、終わったあと「良い汗かいた・・・」と言いつつも、心拍数が上がったり、呼吸困難な状態になっていませんか?

有酸素運動を保つための目安は、心拍数を計ることでわかるそうです。

目標心拍数=安静心拍数+0.4×(220-年齢-安静心拍数)

例えば、年齢が50歳で、通常の心拍数が100の方だったら

目標心拍数=100+0.4×(220ー50ー100)=100+28=128
※数式から見て、年齢が上がれば上がるほど目標心拍数は通常の心拍数に近くなるということになります

この目標心拍数を超えない程度の速さでエアロビクスすると有酸素運動が継続されるのですが、どう見てもそれ以上の心拍数になっている方がほとんどではないでしょうか。

ここで、とても危険なことがわかってきます。心拍数が目標以上に上がることで、無酸素運動を引き起こします。これを継続させると、何としても酸素を補給しようと体自身がいわゆる「活性酸素」を作り出し始めます。これを続けると、体の中に「活性酸素」が充満し、体内が酸性となるため、様々な病気になることが知られています。しわくちゃの肌や顔をしている壮年のマラソンマンを良く見かけますが、まさに、このしわくちゃ肌は、活性酸素によって引き起こります。活性酸素はがんを引き起こすことでも知られていますので、シニアにとって「無酸素運動」には絶対注意が必要なのです。

心拍数がそれほど上がらず、適度な有酸素運動が継続できるもの、これぞまさしくウォーキングだと言えるわけです。これで、3ヶ月後に減量が思うほど進まなくなって、マラソンでもしてみようと思うことが望ましくない理由がおわかりになったことと思います。

では、どうすればさらに減量できるのでしょう? そこで、食べ物調査です。ここからは、いわゆるダイエットになりますので、そこまで擦る必要がない方は、無理をされなくてけっこうです。減量が少し落ち着いても、これまでどおり適度で継続できるウォーキングに励んで行くと、必ず、20代のころの体重まで、ほぼ100%皆さんの体が元に戻ると信じています。何故なら、摂取と代謝のバランスが良いということこそ、バランスの保たれた健康な体であるからです。そのバランス良い体になるための簡単な理論を知っておくことで、理想の体になることを早めてくれます。その理論をご紹介します。

再度申し上げますが、私は医者でも健康管理士でもありませんので、ご紹介する理論はあくまで経験から積み上げたアバウトなことだと理解下さい。ここに書かれた数値より10カロリー多いからダメだとか3キロカロリー少ないから達成できなかったなどという厳密なことはありません。とにかくアバウトでいいので、概して、このくらいを目安に実行してみようというくらいのものです。

まず、覚えておくことは、人には年齢に応じて「基礎代謝」というものがあります。つまり、なにもしないでも、生きているだけで消費されるエネルギー量のことです。非常にアバウトですが(詳しく知りたい方は・・・を御覧ください)

50〜60代の男性の基礎代謝:1500キロカロリー/1日
50〜60代の女性の基礎代謝:1200キロカロリー/1日

これに対して、1日の摂取量を見てみましょう。1日に何を食べたかです。

朝:トースト、ベーコンエッグ、牛乳、季節のフルーツ、コーヒー(約500キロカロリー)
昼:野菜ラーメン、コーヒー(約700キロカロリー)
夜:焼き魚、切干大根、海藻のサラダ、漬物、豆腐の味噌汁、ご飯(600キロカロリー)

1日合計:1800キロカロリー(男性の場合)
※女性は、同じメニューでも量が少ないので1500キロカロリーくらいだと想定します

量にも寄りますが、だいたいこんな感じではないでしょうか。

この場合、男性も女性も、基礎代謝に対して、約300キロカロリー摂取量のほうが上回っていることがわかりますね。

万が一、運動も何もせずにいても、通勤や家庭内の仕事をしていますから、約100キロカロリーくらいは生活運動で消費されているものとしてみます。しかし、それでも、あと200キロカロリー足りません。これが、脂肪を増やしたり、代謝を阻害する原因なのです。

そこで生活習慣病を診察するお医者さんは、誰でも「1週間に2000キロカロリー消費できるようになりましょう」と言います。1週間に2000キロカロリー消費できる人は、できない人に比べて、心臓病にかかる率が40%も低くなることが報告されているそうです。

1週間に2000キロカロリーということは、1日あたり約300キロカロリー、先程書いたように、生活運動で1日約100キロカロリー消費できるとしても、まだ1日200キロカロリー足りません。これをウォーキングで消費しようということなんです。200キロカロリーをウォーキングで消費しようとすると、個人差はありますが、およそ6000歩、距離にして約3キロ、ゆっくりウォーキングで約40分くらいです。通勤時の行き帰りで20分づつ歩けば達成できる量です。これなら出来そうじゃないですか?

これで心臓病などの循環器系の病気になる率が40%も軽減できるのであれば、いますぐ始めよう、という気持ちになられたのではないでしょうか。これがウォーキングなのです。ウォーキングを継続すると、高血圧の方でも血圧が下がってきます。放っておけばまた上がりますが、ゆっくりウォーキングすると、また下がります。下がれば気持ちも楽になります。これを繰り返すことがとても良いのです。

もちろん、食べるメニューを変えて、カロリーを下げる工夫も大切です。食べものを記録して、それぞれが何キロカロリーあるのか調べると、どんな食べ物を食べれば、摂取カロリーを抑えられるかも、だんだん分かってきます。カロリーについては、ここでは詳しくお話はしませんが、ただ単にカロリーが低ければ太らない、というわけではないことにも注意が必要です。1日30品目など言われるように、必要な栄養素が偏ることで、摂取量は抑えられても、栄養疾患になってしまうこともあります。炭水化物と脂質とタンパク質がどのくらいバランス良く摂取できるかも考えなければならないのです。

有酸素運動を継続すること、そして1日の摂取量ー基礎代謝の差額に合わせた適度なウォーキングを継続させること。これがいかに重要かがおわかりになったのではないでしょうか。

スマスリウォーキングは、そのウォーキングを継続させるための様々な要素を含んでいます。そして、街を見て聞いて楽しんでウォークするという、心から健康を保つ工夫も加味されています。ぜひ、これを機会に、スマスリウォーキングでバランスの良いこころと体を保ちましょう。